

今回紹介するのは・・・

今回は何ですか?
今回は、「新しい英語力の教室」(田中慶子著)です。

本書は2022年7月に発売された比較的新しい本になります。
そしてAmazonの「トラベル英会話」部門でベストセラー1位を獲得しています。

本記事ではこの本について触れていきます。
毎回ながら科学的視点と定質的視点でレビューしていきます。
結論だけ知りたい人は、ここからジャンプできるから見てください。

書籍まとめ記事はこちら
それでは「『新しい英語力の教室』、本では何を述べているの?」と題してレビューをします。
「新しい英語力の教室」の概要

まずは著者の紹介から。
著者は田中慶子氏です。
アメリカの大学を卒業後、さまざまな経歴を経てVIPに対する同時通訳者として活躍されている方です。
・アメリカ最古の女子大、マウント・ホリョーク大学を卒業
・同時通訳者、対応したのは天皇皇后両陛下、総理大臣、ダライ・ラマ、テイラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム等

一見そう見えるかもしれないけど、中高生時代のときは苦労されていたみたいだしトントン拍子で成り上がったって感じでもないみたい。

…ということで実践の場で悩み抜いた著者が自身の経験を踏まえて色々とアドバイスするのがこの本です。
もう少し詳しい話は次のセブセクションで話をしますね。
章の構成

章の構成については次になります。
(「新しい英語力」田中慶子著、p3-4から抜粋)
章 | 構成 |
---|---|
1 | 第1章では、私が20年以上同時通訳の仕事をしてきた中で感じている「今目指すべき英語力」についてお話します。この章を通して、あなたにとって「英語ができる」ということの定義が何であるかを考えていただけたらうれしいです。 |
2 | 第2章では、私が英語を学んだ経緯や「英語ができる人」がやっていることをご紹介しながら、英語を学ぶということについて考えていきます。 |
3 | 第3章では、同時通訳のノウハウなどもご紹介しながら母国語ではない言語を使うことについて考えます。 |
4、5 | 第4章と第5章では、いよいよあなた自身が必要な英語力を得るための具体策を考えていきます。ワーク形式で質問に答える形で、具体的な対策を考えていただきます。私が「こうすればよい」と一方的に教えるのではなく、あなた自身が考えて決めるのです(ティーチングではなく、コーチングです!) |
6 | 第6章では英語学習のNG例を集めています。私自身の経験も含めて、英語学習の落とし穴をご紹介することで「何をやってはいけないのか」を知り、そこから「何をすればよいのか」のヒントにしていただければ幸いです。 |

うん、私もそう思う。
同時通訳者って一般的な英語学習者から見たら成功者だから、こういう人たちがどういう考えをしているか気になるよね。

やっぱり気になるよね。
…ということで少しだけ中身を紹介します。
少しだけ中身の紹介


英語ネイティブに見られる変化
英語ネイティブに見られる変化という話がありました。
要約すると、英語ネイティブから見ると不適切な用法もノンネイティブが意図せず使ううちに受け入れるようになったという話です。
例えば”had better”、これは学校で習うと思うけど実は上から目線のニュアンスがあり注意が必要です。

うん。
ある仕事場で周りのノンネイティブの方が”had better”を連発される英語ネイティブの人がいたの。
その人は最初は腹立てたけど、後から”had better”を上から目線で使っていないことを知り”had better”を受けれいたという話があったわ。
まぁ、言葉ってものによっては時代とともに変わるものだからね…。
例えば「貴様」って言葉は男性が目上の人に対して使う敬称だけど今は同等か目下の人に対して使うでしょう?

“had better”は一例だけど、英語の単語やフレーズの意味合いって今後も変わっていくわね。
使い方やニュアンスは観察して習得しよう
これも良い話だと思います。
使い方やニュアンスって辞書からのみでは得にくいところがあると思います。
実際に英語が使われている場面を観察するのは一つの有効な話だと思います。
この記事でも触れています!
「英語独習法」では観察以外で使い方やニュアンスを知る方法について述べています。
ただ、使い方やニュアンスを学ぶ方法って観察以外にもあるのでその点は言及してほしかったと思います。
それについては、↑の記事を参照してくださいね。
エア会話
エア会話とは著者の造語で俗に言う「独り言英会話」のことです。
相手が目の前にいると想像して架空の会話をすることです。
英語ができるようになるためには量が必要ですし、会話ができるかどうか自分をテストすると効率はよいと思います。
この点は科学的根拠に基づいているので私としては賛成です。
「英語ができるようになるためには量が必要」の根拠となる記事
「会話ができるかどうか自分をテストすると効率はよい」の根拠となる記事
「TOEICスコアを目標に勉強する」はべからず
これは第6章にある「英語学習のNG例」の一つなんだけど、正直言って「そうなの?」って気持ちになったわ。
英語学習のゴールって人それぞれだしTOEIC L&Rだけでは話す力が得にくいというのも承知だけど、この見出しは受け入れられないわね。
TOEICスコアで高得点を取ったことにより良い就職先に就けた人もいるでしょうに…。

「新しい英語力の教室」レビュー

エビデンスレビュー

今回は啓発本なので著者の意見が多いです。
これらが妥当かどうかしっかり見ていきますね。


「英語ネイティブに見られる変化」の英語ネイティブは何を指している?
「英語ネイティブに見られる変化」で気になったことです。
それは、あくまで著者の体験に基づいた意見ということです。
著者が関わった英語ネイティブの人は”had better”の誤用法を受け入れたようですが、果たしてこれはすべてのネイティブを指しているでしょうか?
著者が見たものをさも全体に通じるかのような一般化は誤謬に繋がりやすくなりますね…。
誤謬についてはこの記事で触れています。
「できない」を分解する
英語の悩みに対してその課題を分解して考えるというのは有効だと思います。
これはロジカルシンキングでいう分解して物を考えることに基づくものになります。
一人ひとりが抱える課題は細かく分解すると、どこに問題があるかというのは違ってきますからね。
この点は良いと思います。
「使い方やニュアンスは観察して習得しよう」は抜けがないか?
「使い方やニュアンスは観察して習得しよう」という意見。
抜けがないかということが気になりました。
つまり使い方やニュアンスを習得する方法は他にもあるということです。
「英語独習法」という本ではコーパスを活用して使い方やニュアンスを獲得する方法を紹介しています。
ロジカルシンキングのMECEで言うと、「モレ」がある状態ですね。
「英語独習法」についてはこの記事で触れています!
総括
総括です。
本書の毛色もあるのかもしれませんが、著者の意見に対する科学的根拠(第二言語習得論、認知科学、脳科学)に基づいた話は本書ではされていませんでした。
経験則でなく科学的根拠に基づいた意見がほしいという方は気になるかもしれません。
定質レビュー

良い点
コーチングページ(ワーク)があることです。
これはこの本の大きな特徴といってもよいでしょう。
著者がコーチングに関する技術を学んだということもあり全6章の2章分がコーチングページ(ワーク)と充実しています。
お医者さんが患者のどこが悪いかを診察して特定するように、コーチングは学習者の悩みを事細かに掘り下げていきます。
読者に寄り添った本かもしれませんね。

気になった点
自身の経験を一般化しているような記述が見受けられたこと。
解決方法は複数あることを示すべきなのにそのうちの一つしか示さなかったことです。
やっぱり気になりましたね・・・。

「新しい英語力の教室」の評判

良い評判

コーチングを学んだ英語のプロが書いた渾身の新書
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1YYMJ7SSQ0W8J/ref=cm_cr_getr_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4295014923
私は大学教員ですが、学生にも絶対に読ませたい書籍です。 通常の英語学習本とは異なり、英語を使って自分が何をしたいのか、自分がどのように英語学習をするといいのかなど気付きを与えてくれる内容です。 さらにコーチングのスキルをもった先生とやり取りをしているかのような『ワーク』という内容が含まれており、自分が気付いていないことを質問に答えていくだけで気づかせてくれます。 これによって自分にとっての英語とは何か、自分がどのような英語勉強をするべきか教えてくれるものとなっています。必読です。
全英語に迷える子羊たちに贈りたい!英語と幸せに向き合う本
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R33Y5UIGY90F8F/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4295014923
コンパクトで軽い本なのに内容は本当に盛りだくさん‼︎読書家ではない私にとって最も読みやすい横書きのチャプター形式になっていて、パラっとめくったページから小話のように気軽に2〜4ページ完結で読むことができました。
前編(小話編)では英語といかに気楽に自分らしく向き合うかのヒントが散りばめられ、目的地まで伴走してくれる要素が■通訳者■サバイバル英語経験者■コーチング目線でたくさん詰め込まれています。
後編(ワーク)では自分の頭を整理し、見つめ直し、目標を見出していくことができるマップのようなものが完成していきます。
そして極め付けのNG集。
ページをめくるごとに、これまで自分が英語に対して犯してきたNGがグサグサと突き刺さり、同時にちょっと笑える最後のお楽しみです。
とにかく読みやすく、英語のみならず人生の役に立つ本だと思います!とてもおススメです◎
「一般的な英語学習」の土台作りとして「ワーク」に取り組もう!
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2PMF3P84C3FFS/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4295014923
著者の田中慶子さんがこの本についてこうおっしゃっています。 「この本は英語のフレーズや文法解説を集めたテクニック集ではありません。お伝えしたいのはコミュニケーションのツールとしての英語を使いこなすための考え方やプロセス(英語術)です」 この本の第4章、第5章にある「ワーク」に取り組めば、何のために英語を学ぶの?どんな場面で英語が必要なの? それらがクリアになり迷いも少なくなるのではないかと感じました。 「ワーク」を使って、自分自身とじっくり向き合う時間を作り、今後の英語学習の土台にしたいです。 この本でとても興味深かったのは、第1章。 国際共通語の英語はブロークンイングリッシュ。今はネイティブが非ネイティブの話す英語を理解しようと歩み寄る時代というお話し。ジャパニーズイングリッシュもチャーミングだと思えば堂々としゃべりまくれそうです!! あ、なんだか自信が湧いてきた!!
悪い評判


2022年9月末の時点でAmazonの評価件数が41件で平均は4.9という一見凄そうな評価に見えますが・・・

レビュー付き評価29件のうち18件が発売日含めた3日間のうちにされています。
そしていずれも評価5を付けています。
本当に内容が良くて評価された可能性もあります。
ただし、著者の身内や関係者の方がレビューした可能性もあります。
評価平均4.9が本当かどうかは読者が吟味するべきでしょう。

「新しい英語力の教室」の評価

◆おすすめ度
★★★★★★|★☆|☆☆
(10点満点中の7点…英語学習者万人に薦めるほどではないが参考になる箇所がある)
◆おすすめできるか
英語実践の場に出たことがない方にはすすめることができると思います。
Twitterの英語学習アカウントではTOEIC満点や国連英検特A級取得の猛者がいますが、
彼らのTweetを一年以上観察しないと得られないアドバイスの多くは本書に収められていると思います。
◆読後の効果
管理人は英語を実践の場で使っている者ですが、多くは共感できる内容でした。
多くは的確なアドバイスなので英語実践の場に出たことがない方にはよいと思います。
◆本書の評判
2022年9月現在、Amazonの評価は4.9。
正直に言って、評価した人の母集団が気になるので4.9を真に受けるには注意がいるかもしれません。
◆本書の価格
紙の書籍で1,650円、Kindle版だと1,485円です。
買うというよりも、図書館で読めるようになったら読んでみようかなって感覚です。
◆向いている方
・英語実践の場に出たことがない方
◆向いていない方
・英語実践の場に出たことがある方
・英語上級者
まとめ

コーチングがある本なので、自分の英語学習の悩みを解決したいという人にはよい本かもしれませんね。
エイコちゃんはどう感じたかしら?

ご意見ありがとう。
さて本ブログでは、このように英語関連書籍を紹介してきます。
もし気になる本があればこのブログ経由で買っていただけるとありがたいです。
それでは。

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