

今回登場するのは…

今回は、「上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア」(北村一真、八島純)です。



まず本の正式名は「知識と文脈で深める 上級英単語ロゴフィリア」。
…ということで上級者向けの英単語本になるわね。
ただ英単語と例文だけで終わらず、読者が覚えるための工夫が色々されているの。

それはこの後しっかりするわ。
この本に関しても科学的視点と定質的視点でレビューしていきます。
結論だけ知りたい人は、ここからジャンプできるから見てください。

書籍まとめ記事はこちら
それでは「レベルはどれくらい?『ロゴフィリア』レビュー!」と題してレビューをします。
「ロゴフィリア」の概要

まずは著者の紹介から。
著者は北村一真氏と八島純氏。
特に北村氏は有名なお方なので紹介させていただくわね。
・慶應義塾大学大学院後期博士課程
・著書に「英文解体新書」「英文解体新書2」「英語の読み方」等



英語学習界隈に興味がある方、英語学習に関わるところで働かれている方なら耳にすると思います。

そうよ。
…ということで発売前にはSNSでは「あの北村先生が本を出される」ということで話題になったの。

うん、それについてはサブセクションで話しましょうか。
レベルはどれくらい?

まず本書では見出し語について「英検準1級〜1級レベルの語彙を中心に選定」とあるわね。
「上級英単語」と書名に付くだけあると思う。
そして、偶に英検1級超えの単語も登場、例えば”misogyny”、”pulmonologist”、”asphyxia”など。
これを踏まえるとこうなると思う(私見)。

英検準1級〜1級、国連英検A級くらいの人には丁度いいかもしれない。
だけどCEFR-C2レベルに近い人(国連英検特A級、CPE)には物足りないかもしれないわね。

でもエイコちゃんは英検準1級を目指している真っ最中なんだから頑張って読んでみるのもいいんじゃないかな?
この本には単語/熟語、イディオムを覚えやすくする工夫があるから。

次のサブセクションで説明するわね。
「ロゴフィリア」にある工夫

ロゴフィリアはこんな構成になっています。

本当はもっと細かな特徴があるんだけど、都合上割愛させていただいたわ。
特徴について述べていくわね。
特徴1:英文は生の英語素材から抜粋
「国際女性デー」や「ひきこもり」「セクハラ問題」など実際に登場した記事やエッセイが英文に採用されているの。
英文の題材は国際人として知っておきたいトピックばかりね。
そして、見出し語はその英文に登場した重要単語になるんだけど、単語が実際にどういった文脈で使われるのか分かるから単語の良い運用もできるようになるわね。

特徴2:クイズ
クイズがあるのは画期的ね。
英文記事の内容理解、単語の意味を当てる等のクイズがあるんだけど次のメリットがあると思うわ。
- 何となく読むことを防ぐ
- テストの効果により、頭に残る
特にクイズってテストの効果があるから科学的に見ても頭に残りやすいの。
そのことについては別のブログ記事でも触れているので気になった方は読んでくださいね。
この記事です!
特徴3:トリビア
見出し語(英文中の重要単語)にはトリビアが付いています。
例えば”traction”っていう単語はこんな感じ。
This product is gaining traction among consumers.
「ロゴフィリア」p040 から抜粋
(この商品は消費者から支持されてきている)
tractは[引っ張る]という意味で、attract「…引きつける」やretract「…を引っ込める」にも含まれる語根。農業機械を牽引する作業車のことを「トラクター」というが、これは英語のtractorに由来する。また、gain tractionとは、「勢いを増す」「支持・関心を得る」といった意味を表す表現である。
このようなトリビアがあると難しそうな単語も覚えやすくなるでしょう?

「ロゴフィリア」レビュー

エビデンスレビュー

本の内容はほとんどが単語/熟語/イディオム/事実の解説なので、エビデンスレビューの対象外です。
それでは、定質レビューにいきます。
定質レビュー

良い点
単語の暗記負担を減らす工夫があることです。
一つ一つの単語にトリビア解説があり、語源の解説まで付いているものがあります。
英単語帳の多くは例文が付いているものは多いですが、語源やトリビアまで付いているものはそれほど多くない印象です。
このような精緻化によって覚えるのが楽になります。
また、単語が実際の英文でどう使われるのか分かるのがよいですね。
単語だけ知っていてどういう文脈で使うのか分からない学習者もいるでしょうから。

気になった点
気になったというよりも、将来に期待したいことです。
「ロゴフィリア」が今後シリーズとして発売されるなら
- ①「ロゴフィリア」よりも一段階高いレベルの書
- ②「ロゴフィリア」よりも一段階低いレベルの書
もあればより多くの読者がファンになると思います。
ただ、①については高レベル過ぎて対象読者が絞られるのでビジネスとして売れるかの妥当性を検証する必要があります。
②についてはレベルが落ちるので「上級英単語ロゴフィリア」というタイトルに合わなくなるかもしれません。
とかく著者の方々は「ロゴフィリア」を今後シリーズとして展開させるのか、今回限りなのか気になりますね。

「ロゴフィリア」の評判

良い評判

細やかな配慮が随所に
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1YIKZWM8S67G9/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4866394811
中上級の英単語は力ずくで覚えることが多いという。だが、本書のように文章を読みながら語彙を増やすほうが記憶に定着しやすいのかもしれない。収録された単語は1000語くらいだが、英検1級、準1級の頻出語が多いのでムダがない。記事は政治・経済・IT・文化・古典など多岐にわたり、使用されている単語を基準に選定したというから念が入っている。末尾に語数が添えてあるのもWPM(1分間に読める単語数)のチェックに使えて便利と思う。
充実した単語の解説が本書の特長で、普通の単語帳ではスペースの都合上これほど詳細な解説は不可能だろう。下欄のNOTESでは同じ単語の解説が他の箇所にある場合に参照ページを記載するなど細かな配慮がなされている。赤いシートでチェックする単語帳の基本も踏まえ、スマホ(評者はSpotifyを使用)などで音声が聞けるのもありがたい。単語帳の丸暗記ではなく大量の読解を伴うので最後まで読み通すのは大変だが、かけた時間に見合う成果は得られそうだ。
令和のリンガメタリカ、ここに見参
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R13K3AL53SOX8R/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4866394811
この度、北村一真先生はロゴフィリアという名著を創造しました。北村一真氏は、英文解体新書や英語の読み方でベストセラーにもなった英語の第一人者であり、現在杏林大学の准教授をされています。また共著の八島純専修大学准教授は北村氏と同じ慶應文学部英米文学科の旧友であり、かつ同じ唐須ゼミ出身で、慶應文学部卒業→東大の大学院→UCLAの言語学の博士号を取得された英語のマスターです。そうしたダブルドクターズ(二人の博士)による、最強のタッグで編纂した、この英単語集は左に英語長文、右に英単語、最後に全訳という構成で、厳密には速読英単語やリンガメタリカとは多少異なるものです。なぜなら、後者は英文と英訳が対になっているからです。むしろ、東大の英語の教科書(The universe of englishシリーズ)の構成に近いです(ただし東大の教科書に全訳は無い)。また、リンガメタリカにはテーマごとの背景知識を学習できるメリットがありますが、本書では背景知識に重点をおいてはいません。代わりにトリビアという英単語を覚えるための背景知識を掲載しています。これは、ストック英単語の関正生先生の記憶ブースターに似ています。しかし、そうは言っても、英語長文を通して英単語を覚えていく形式なので、その大部分は速読英単語やリンガメタリカに似た形式です。特に英文の内容を確認する問題quizは、速読英単語必修編の構成を参考にしたものと考えられます。速単の必修は英文の冒頭にその内容に関する簡単な英問英答の設問があるからです(本書では巻末に問題は
掲載してある)。また北村氏が書いた英文解体新書は令和の英文解釈教室と言われています。しかし、その難易度は後者を上回りますが、解説の分かりやすさは伊藤和夫を凌駕しています。そうした北村一真先生が、難易度が高い英単語集を世に出したのだから、発売前から注目していました。内容は現代的なトピックが大部分を占めますが、10章だけは古典文学でこの種の長文型英単語集の中では最難関のレベルです。京大やSFC、慶應文学部、そして早稲田の社学の英単語、イディオム、慣用表現、英語構文の難易度に相当します。しかも、構文の解説は皆無なので、英文法と英文解釈を仕上げておく必要があります。10章のエドガーアランポーやH.Gウェルズは英文解体新書にも問題として掲載されているほどの超髙難易度レベルなので、本当は英文解体新書を仕上げてから本書に取り組むべきですが、英文解体新書は解釈本の中でも最高レベルなので、敷居は高いと考えます。また、英文のトピックは54ありますが、一つのテーマが2ページに及ぶものが大半を占めるので、実際の英文のページ数は100ページにも及びます(速読英単語やリンガメタリカは約50ページなので、その倍のページ数です)。それゆえ、受験生はリンガメタリカの倍以上の労力と繰り返してマスターする時間を受験日から逆算して計画を立てなければなりません。リンガメタリカは英検準1級~1級レベルですが、ロゴフィリアはほぼ全ての英単語は1級レベルだからです(準1レベルの英単語も掲載されているが割合は少ない)。それ故、英語が得意(全統模試偏差値70くらい)で英語が難しい早慶や京大を狙う時間に余裕のある大学受験生には薬となりますが、それ以外の受験生には毒かもしれません。むしろ、ポレポレ英文読解プロセス50や英文読解の透視図、英文解釈の技術100などの適度に難しい英文解釈本をマスターしてから、リンガメタリカや速読英単語上級、パス単準1級を仕上げて、過去問に当たる方が志望校合格への近道になると考えます。しかし、解体新書とロゴフィリアのツートップを完璧に仕上げたらポレポレや英文読解の透視図→リンガメタリカや速読英単語上級編といった最近の難解大学合格ルートを超える英語力は身に付くと確信しています。つまり、時間に余裕があり英語で他の受験生に圧倒的に差をつけたい人が使う最終兵器が本書であると確信しています。慶應SFCや早稲田の社学、京大や慶應文学部の英語で高得点を上げたい受験生が使うことをオススメします。なぜなら慶應SFCと早稲田社学は客観式英語問題の国内難易度頂点であり、京大や慶應文学部は英語記述問題の日本最高難度であるからです。まとめるとロゴフィリアは、速読英単語&リンガメタリカ&ストック英単語×英文解体新書であり、これらの長文型英単語集の良いところをコンパクトに総合したものと言えるでしょう。
用途は色々(面接、エッセイ対策等)
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3A7IWDB5STOU7/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4866394811
既に他のレビュアー様が本書を「令和のリンガメタリカ+速度英単語~」だ、と喝破していらっしゃいますが、一通り目を通してみて私もその通りだと思いました。
時事ネタとしては比較的新しいテーマを取り上げており、本書を読むことによって昨今の知識と教養を英語(もちろん日本語でも)で身につけることができます。
但し、構文解析、品詞分解といったものは一切なされておりませんので文法は一通り習得していることが前提となります。
また少ないですが文ごとに設問(3問程度)がありますので良い頭の体操になります。
何であれ上級試験を受けるにあたっては本書レベルの単語(知識)を身につけておいた方が有益だといえますので一読の価値があります。
因みに小生の英語力を申し上げますと通訳案内士の免許を取得しており、TOEICスコアは935です。
悪い評判

内容は「良の優」、体裁は「可の可」
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RDT1Z8GYGV06E/ref=cm_cr_arp_d_viewpnt?ie=UTF8&ASIN=4866394811#RDT1Z8GYGV06E
SNS界隈で「買わなきゃ乗り遅れる」のような波があり、興味をそそられAmazonから購入しました。
1年以内に国連英検特A級の受験→合格を目指しているため、「単語対策として」のような表現があるとつい購入してしまいます。
普段から、UN News ,Japan Today,WSJを読み、ネットでCBS Mornings , NBC Newsをチェックしています、もちろん辞書を引きながらですが。
国連英検受験者の視線での印象は、A級には大丈夫かもしれないが特A級には足りない、です。
取り上げられている言葉は、普段目にすることは少ないかもしれないけど、ネイティブとの会話には必要不可欠と思われるものなので、(これらの単語を)自由に使えたら便利だろうな、と思います。
英文に対する和訳がありますが、和訳を見て英文を書くという練習を繰り返すと、英検1級のライティング、国連英検A級~特A級のライティング対策に有効と感じます。
英文の最後にワード数が記載されているのが、親切だと思いました。
最新の事柄と共に古典が取り上げられ、特に国連英検特A級受験時には古典の知識が「あればあるほうが良い」ので、古典の文章に慣れるように常に読むと、知識の底上げにも有効と思います。
ここからが星マイナスについてです。
・フォントが古い
Meiryoなどで読みやすくしてほしい。
・ポイントが小さい
文字が小さくてイライラします。判の大きさを変えずに、2ポイント上げることは可能と思います。 ・構成がひっかかる
英文が1ページに収まらない時に、一連の項目(クイズ、ノート、トリビア等)を終えて、その次に「~の続き」という書き方をして、別ページに英文が続いて行くので、「え?『~の続き』って、自分のノートみたいな書き方ある?」と感じるとともに、英文を一気に読んで全体の流れをつかむ、ということが難しい面がありました。
実物を見てから買うのを推奨
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2B4EXPGO78NK2/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4866394811
友人が購入したので借りて数日読みました。
以下はあくまで個人の感想です。
・レベルは英検1級と準一の間くらい。
なので取り立てて難しい単語は無い。
・派生語の記載が殆ど無い。見出し語に関連付
ければ少なくとも1.5倍位の語彙収録可能なの
で勿体ない。文章の量に対して見出し語が少
ないのはどうにかならなかったのか。
・レイアウトがとても見づらい。
・掲載している文章の内容に?が付くもの多
い。これは他のレビュアーの方の指摘にも
多い。
結論的には、読み物、教養をつけるものとして読む本で、これでボキャブラリー強化は難しいと感じました。ご参考までに。
「ロゴフィリア」の評価

◆おすすめ度
★★★★★★|★★|☆☆
(10点満点中の8点…英語学習者万人に薦めるほどではないが多くの箇所で参考になる箇所がある。)
◆おすすめできるか
英検準1級〜1級レベル、国連英検A級くらいの方には丁度よいかもしれません。
英検準1級未満だと難しく感じると思いますし、国連英検特A級を目指す方には物足りないかもしれません。
レベルが合致する人ならばおすすめできます。
◆読後の効果
英文記事を通して、単語/熟語/イディオムの運用が磨かれた実感が得られると思います。
例えば”bipartisan”は「二党の」という意味しか管理人は知りませんでしたが、本書のトリビアにより
アメリカ政治の文脈においては「党を超越した」という意味になることを知りました。
◆本書の評判
2022年9月現在、Amazonの評価は4.4。
良い評判は「英文記事のトピックがためになる」。
悪い評判は「体裁に改善の余地がある」です。
良い評判が多い印象です。
◆本書の価格
紙の書籍で2,420円、Kindle版だと1,936円です。
楽しくためになる400ページ超の英語学習本と考えるとお得かもしれません。
◆向いている方
・英語力が英検準1級〜1級レベル、国連英検A級くらいの方
◆向いていない方
・英語力が英検準1級未満の方(本書が難しく感じるでしょう)
・英語力がCEFR-C2に近い方(本書だと物足りないかもしれません)
まとめ

英語力が「ロゴフィリア」にぴったりの人にはおすすめの英語本だと思います。
勉強でなく読み物として読んでも良いので気になった方は買ってみてくださいね。
さてエイコちゃんはどんな印象を持ったかしら?

よい感想をありがとう!
さて本ブログでは、このように英語関連書籍を紹介してきます。
もし気になる本があればこのブログ経由で買っていただけるとありがたいです。
それでは。

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