

皆さんにおすすめできるかについて触れます。

お待たせしました、満を持しての書評になります。
今回は「英語のハノン」(横山雅彦/中村佐知子著)。
Twitterの英語学習者アカウントの間でも「英語のハノン」という言葉を聞かない日がないほど話題になった書です。




何か聞いたことがありますねー
そうね、2021年秋に初級編が販売。
ネット上ではこれは革新的な本だ!」という意見が出てきたわ。
そういった評判もあってか、Amazonの「英会話」書籍売れ筋ランキングでは1位を獲得。

どういう内容なんですか?
それは、これから話していくわね。
この本に関しても科学的視点と定質的視点でレビューしていきます。
結論だけ知りたい人は、ここからジャンプできるから見てくださいね。

書籍まとめ記事はこちら
それでは「『英語のハノン』レビュー、絶賛の理由を科学的に考察しました!」と題してレビューをします。
「英語のハノン」の概要と特徴

まず著者の紹介から。
「英語のハノン」は著者が2名いて、名前と経歴は次のとおりです。
・留学未経験であるにも関わらず、帰国子女がいる中、英語ディベート大会で優勝
・TOEIC満点
・英検1級
・TOEFL(TOEFL PBT/iTP)満点
・TESOL修士号修得

そうだね、これだけ素晴らしい本を書いた方たちだから

「英語のハノン」は4技能のうちSpeakingを主に鍛えてくれる本。
読者を鍛えてくれるのは本よりむしろ、この本に付属する音声データ。
読者はこの音声データの音声をリピートしたり、流れてくる指示に従って英文を発声する。
そんな使い方をして読者はSpeakingを鍛えるの。
この音声で鍛えてくれる方法はパターンプラクティス(pattern practice)と呼ばれるもの。

パターンプラクティスの説明は次のとおりね。
「外国語学習の科学」白井恭弘著から一部抜粋
ーーパターンプラクティスの例ーー
先生:彼は英語を話す。
生徒:He speaks English.
先生:話しますか?
生徒:Does he speak English?
先生:彼女たちは
生徒:Does they speak English?
先生:日本語を 話します。
生徒:They speak Japanese.
先生:トムは 上手に
生徒:Tom speaks Japanese well.

そうだね、ゲーム感覚にもなるわね。
しかも、継続していくとSpeakingが凄く鍛えられるからね。
ちなみに「英語のハノン」はこんな感じでレッスンが進んでいく。
音声は日本語はなくて、すべて英語で指示される。
英語音声( 指示 ):Question
英語音声(読み上げ):Can I reach Mr. Swift by email?
英語音声( 指示 ):How
英語音声(読み上げ):How can I reach Mr. Swift?
「英語のハノン 初級」から抜粋

そうだね。
初中級者のみならず、英検®1級保持者、TOEIC® L&R満点の方でも歯ごたえがある内容だと思うわ。
著者の横山氏に次の言葉があるから。
…ということで、「英語のハノン」の特徴について説明していきますね。
特徴その1:パターンの網羅性が高い

これを説明するために比較の1冊を用意します。
ちなみに、この本はパターンプラクティスとしてとっても良い本なので気になった方は手に入れてくださいね。
英語学習を始めたばかりの方でもパターンプラクティスができますよ。


さて、この「ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス」のパターンは次の感じです。
・受動態
・must, can’t, may, have to, be going to, be able to
・不定詞
・動名詞
・比較
・SVO+to不定詞
・that説
・間接疑問文
・従属節
・分詞
・関係代名詞
・原形不定詞

そうだね、作者も次のように言及しているわ。
本書は、基礎編と発展編の2部構成になっています。前半の基礎編では、中学2年前半レベルくらいまでの文型の練習をします。文型ごとの構成ではありませんが、be動詞だけの文、一般動詞だけの文と、単純なものから始まり、be動詞、一般動詞の交互に現れる練習、疑問詞の導入と、先に進むにつれ、雪だるま式に新たな要素が加わっていきます。基礎編では、現在完了導入の項を除き、表題はついていません。使用文型は基礎的なもので負荷も軽いので、スピード感を得るため、1項目あたりの文数15文とやや多めです。 応用編では、中学2年中盤以降から3年にかけて学習するレベルの文型を、個々に練習していきます。各項に練習対象となる文型が示されています。文型の難度が上がりますので、1項目あたりの文数は12に下がります。
「ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス」p17から抜粋
ちなみに「ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス」は2008年に発売された本。
必修教科科目として英語学習開始学年が中学1年の時期でした。
2020年に教育制度が変更になり中学1年から小学5年になったので、そこは読み替えて読んでくださいね。
そして「英語のハノン」の網羅性。

こんな感じです。
✕
・現在形
・過去形
・現在進行系
・助動詞
・疑問詞
・受動態
・現在完了形
・命令文
・否定疑問文
・付加疑問文
・不定詞
・分詞
・接続詞
・同格節
・過去完了形
・未来完了形
・間接話法
・疑問詞節
・比較
・倒置
・関係代名詞
・関係副詞
・関係形容詞
・複合関係詞
・名詞構文
・強調構文
・助動詞+have+p.p.
・仮定法
第1文型〜第5文型。
これを、英語学習で習うほぼすべての文法に対して掛け合わせて行うの。




…ということで、パターンプラクティスをする本では私が知る限り最も網羅性が高いです。
特徴その2:圧倒的な練習量

特徴その1で「パターンの網羅性が高い」と話しました。
そうなると、必然的に練習用の音声データは圧倒的に総再生時間は長くなります。
まずは比較のために「ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス」の総再生時間を算出します。

CD2枚組、1枚目は77分00秒、2枚目は77分52秒でした。
英語の音声教材としては一般的な長さかと思います。
そして「英語のハノン」。
音声データはたくさんのトラックがあり、長さが気になり算出しました。


初級が9時間28分42秒、中級が4時間57分59秒、上級が5時間32分42秒でした。

…ということで、この圧倒的な練習量が分かったのではないでしょうか?
練習量が多いと噂される「英語のハノン」ですが、数字として算出すると実感できると思います。
これを真面目にやると集中せざるを得ませんし、通してやると舌が疲れるのではないでしょうか。
この圧倒的な練習が発声する本、多くの英語学習本には見られない特徴でしょう。
「英語のハノン」が絶賛の理由

「英語のハノン」。
英語学習インフルエンサーのあちこちで評判があがっていまいたが、次の言葉が最大級の賛辞かと思います。
読書界隈で有名な読書猿さん、博識な方ですが、次の言葉で「英語のハノン」を絶賛していました。

…ですが、単純に「(著名人/権威がある人)がこう言っていたから」で「英語のハノン」を推薦するのは私のプライドが許せませんでした。
いわゆる「権威に訴える論証」という誤謬にあたり、考えていないことになると思ったからです。

この記事でも「権威に訴える論証」等の誤謬を説明しています!

…ということで独自の2つの観点で「英語のハノン」の絶賛の理由を検証したいと思います。
1つは科学的観点、1つは定質的観点です。
科学的理由:練習テストの発生

「英語のハノン」が絶賛されているのは「練習テスト」の一面がありSpeaking力を鍛えるのに効果的だからです。

「練習テスト」は「問題を解き答え合わせをする」の意味。
自分が作った問題、参考書/教科書にある問題、これらを解いて答え合わせをすると練習テストになる。
「英語のハノン」で読者は、
- 流れる音声を繰り返して言うことができるか?
- 指示に従って英文を変更することができるか?
という「問題を解き答え合わせをする」という状態になっています。
科学的観点で見ると、この「問題を解き答え合わせをする」というのが学力向上に効果的なのです。

もちろん!
この記事に詳細を書いているから、気になったら確認してね。
この記事です!

「英語のハノン」は初級・中級・上級合計で19時間59分23秒の音声があるから、たっぷりの「練習テスト」ができるわよ。

…ということで、科学的理由は「『英語のハノン』は練習テストという科学的にも効率的な方法で読者を鍛えてくれる」でした。
定質的理由:「英語が話せない」を解決する

さて、「英語のハノン」が絶賛されている理由。
日本の学生や社会人で多い次の悩みを「英語のハノン」がピンポイントで解決しているためと思います。
- 英語学習は6年間やってきており、中級者レベルである。
- 学校の英語の授業で習う文法は一通り学んだ。
- 話すための英語の授業はそれほど受けておらず、話すことは苦手である。
これを検討するために再度「ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス」と10個の指標で比較してみました。

比較結果が下の表です。
比較項目 | ポンポン話すための… | 英語のハノン |
---|---|---|
教授法 | オーディオリンガル/パターンプラクティス | |
対象レベル | 初級から中級レベルの学習者(p4より) | 初級〜上級 |
指示言語 | 日本語 | 英語 |
一文の長さ | 10 words未満が多い | 10 words以上が多い |
固有名詞 | 少ない | 多い |
語彙レベル | CEFR-B1まで | CEFR-B2まで |
スタンス | また、文型・文法の学習書ではなく、扱う文型が既に理解できていることを前提に、それらの文型を実際に使うトレーニングブックであるという点は、… (p19) | この本は、いわゆる学校文法をはじめからやり直し、それを実際に口頭で使えるようにする本です。-(はじめに) |
パターン | 英語学習最初の3年で習う文法 | 第1文型-第5文型 ✕ ほぼ全ての文法 |
音声の長さ | 1枚目:1時間17分00秒 2枚目:1時間17分52秒 | 初級:9時間28分42秒 中級:4時間57分59秒 上級:5時間32分:42秒 |
販促 | - | インフルエンサーに本を寄贈 インフルエンサーからの宣伝 |
次に指標についてコメントしますね。
対象レベル
対象レベル。
「英語のハノン」は初級者から上級者までなので、英語に慣れた上級者でも満足できる内容となっています。
レベルの範囲が広いですね。
一文の長さ
「英語のハノン」は10 words以上のものが多い印象です。
実際の会話は10 words以上になることもあるので実用的な英文になっていると思います。
固有名詞
「英語のハノン」は固有名詞が多いです。
日本語の日常会話でも固有名詞が当たり前に登場するように、英語のそれでも固有名詞は登場します
実用的な英文だと思います。
パターン
パターンの網羅性については前述したとおりです。
あらゆるパターンに対応できるかを読者は問われているので、ムラがない鍛え方ができると思います。
音声の長さ
音声の長さも前述したとおりです。
「英語のハノン」は初級・中級・上級合計で19時間59分23秒の音声なので、いやというほど多くの練習ができるでしょう。
販促
どんなに中身が良い本でも、本を人に知られなければ売れることはありません。
「英語のハノン」についてはSNSのインフルエンサーに本が寄贈されており、インフルエンサーから宣伝してもらうことをしていたようです。
まとめ
このように指標に分けて考えると、日本の学生や社会人の心になぜ刺さったのか分かるでしょう。
「英語のハノン」の評判

良い評判

3日坊主でもきっと続く(に違いない)英会話トレーニング
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3UHQOKVWIGKVX/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B09NY53725
たまたまこの本を知り、レビューも読み、即買いしました。
決め手は「ハノン」。子供のころピアノを習っていたので「無意識に指が動く」感覚を知っている者としては、この説明ひとつで「英会話もできるようになるかも」と高い期待を持てたからです。
到着初日レビューですので今後変わるかもしれません。
星4→5へは、今後の自分の上達ぶり次第です。
しかしながら、やり始めるとあまりに楽しく、今まで200冊近く英語学習関連本を積ん読していたノウハウコレクターの3日坊主どころか、10ページ以上進んだことのないこの私が、なんと40ページ近く一気に進めたあげく、深夜1時を過ぎたのでストップせざるを得ないという面白さだったので、星5に昇格する可能性はかなり高いです。
これは続けられる、と強く感じています。
英会話は話すトレーニングが不可欠。ならば楽しくやりたい。
この本はそれを十分叶えてくれる気がしています。
楽しく続けていたら英語が話せるようになった、というのが理想ですよね。
まず1か月続けてからレビューを更新したいと思います。
この本を何周かしたあとに瞬間英作文をやると楽勝なんじゃないか、そんな気分にさせてくれる、いまだかつてなかった英会話トレーニングの本、という感想です。さすが、読書猿さんが絶賛するだけあります。
音声教材が秀逸。本はイマイチ。カランメソッドよりこちらをやった方が良い
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3NKO17XRJV8EP/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B09NY53725
もともとオンライン英会話でカランメソッドをやっていましたが、疑問を感じてこちらにたどり着きました。主語を変えたり文書を入れ替えたり、こういうトレーニングがやりたかったのです! 某オンラインスクールのオリジナルメソッドで類似のものがありますが、そのスクール自体が合わなくてとても残念に思っていたので、この本に出合えて本当にありがたいです。
スラスラ言えるようになるまで頑張ります!
残念な点は何人かの方がおっしゃっている通り、テキストがとにかく見にくく、分かりづらいです。
文法解説とドリルはページを分けてほしいです。
ドリル部分はペンで囲うなどして自分で工夫します…
中級者以上の人で文法をさっと復習したい人向け
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RUXU1G9ZGBAW3/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B09NY53725
もうすぐで、1巡目、やり終えます。(多分、それで、終わりです) わたしにとって(英検1級に向けて勉強してます)、会話の点では、かえってマイナスになりました。なぜなら、会話の中で、文法が細かいところまで、気になるようになって、つっかえたり、スピードが遅くなったりして、流暢さにかけるようになったからです。私の場合は、スピーキングを高めたい場合、文法より(もちろん文法は大切だと思いますが)話の内容やコミュニケーション重視で、一人練習としては、読んだものや聞いたものを自分の言葉で要約するといった練習のほうが役に立つようです。 高校生の習う文法まで網羅していると思います。そして、それぞれの文法のパターンプラクティスもたくさんあるので、文法の総復習を口頭でやりたい人にはとてもいいと思います。中級も買いました(話すためでなく、文法の復習のため。)
悪い評判

女性の声が本当に聞き取りづらい
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/RGM4U8PCZT13X/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B09NY53725
内容は良いですし、男性の声も聞き取りやすいのですが、女性の声が本当に聞き取りづらくてイライラします。自分の耳との相性かもしれませんが、これが普通に聞き取れるようになれればリスニング力も上がったと言えると思いますので、頑張って取り組みます。
内容は素晴らしいが、編集がとても残念
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3VNEF8ZR4GDPJ/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B09NY53725
英文法を縦軸と横軸に分け、それを意識しつつ、パッと口にする練習をしつこく出来るこの訓練法は素晴らしいです。いやでも頭を使います。著者の並々ならぬ熱意も感じます。まだ一周目ですが、英語を喋るための基礎的な回路が出来つつあるとともに、英語のための口の筋肉が鍛えられている実感があります。
ただ、ものすごく残念なのが編集です。
とてもプロの仕事とは思えません。
著者が書いたレジュメをそのまま流し込んだような…そんな、整理されていない感があります。とても使いにくい。
音声を聴きながら取り組むドリルのUnitはこの本のキモなので、説明部分と色分けなりする、改行の箇所やページの切れ目に気をつかう…などの配慮が必要だと思う。
これが、大学で配られる資料やテキストなら文句もありませんが、残念ながらとても編集者を通したものとは思えないほど見にくいです。
この訓練のコンセプトは素晴らしいですし、説明を理解して閉本でスラスラ言えるようになれば本を見ることが少なくなるので、この「初級」はやり尽くそう思いますが、編集に工夫が加わらない限りは、この先は別の教材を使おうと思います。
「初級」とは
https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2D9Y28GT7J1T6/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=B09NY53725
全く英語ができないので先ずは「初級」からと考えて始めましたが、、、これはそこそこ英語の概念を理解してる人でないと学習を進めるのは難しいと思います。本当に英語がわからない人は「初級」の文字に希望を持たないほうがいいですよ。スタートラインにすら立てませんので。
0から英語を学びたいという人はこの本ではなく幼児向けの英語の絵本から始めた方がよっぽど楽しく学習を進められると思います。
英語の絵本がスラスラ読めるようになって初めてこのハノン「初級」を開始できるような感じでしょうね。
「英語のハノン」の評価

◆おすすめ度
★★★★★★|★★|★★
(10点満点中の10点…英語学習者万人に強く薦めることができる書籍)
◆おすすめできるか
この本はおすすめします(ただし英語学習初学者には難しいと思いますので、それは除外します、したがって中級者、上級者向けですね)。
理由は「英語は一通り習ったが話すことはできない」という学生や社会人の悩みを解決する内容だからです。
◆読後の効果
「英語のハノン」は「読む」だけではなく「聞く」ことをして「話す」までやれば効果はあると思います。
◆本書の評判
Amazonの評価平均は4.4でした。
音声データにより鍛えることができそうという声がありました。
◆本書の価格
2022年現在、紙の本は1,980円、Kindle版だと1,700円前後です。
この値段で圧倒的な量の音声データが付いてくるのはお値打ちだと思います。
◆向いている方
・英語学習をやり直したい方
・英語は学校で一通り習ったが話せない方
◆向いていない方
・英語の初学者
・英語音声に対してメンタルブロックがある方
まとめ

「英語のハノン」は英語学習をやり直して話せるようになりたい方にはおすすめできる本かと思います。
気になったらぜひ初級から始めてみましょう。

さて、「英語のハノン」は本ブログで英語学習者(初学者除く)におすすめする本です。
「『英語のハノン』は音声が本体」という声がありますが、ぜひ音声データを使ってトライしてくださいね。
それでは。



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