

今回は・・・

今回は、「知られざる英語の『素顔』」(山崎竜成著)です。

2022年9月の発売と同時に、Twitterでは話題になっていました。
ただ、どういった本なのかを説明しているブログや動画は少ないので(2022年12月時点)、この本が気になる人のためにこの記事を用意しました。

本記事ではこの本について触れていきます。
毎回ながら科学的視点と定質的視点でレビューしていきます。
結論だけ知りたい人は、ここからジャンプできるから見てください。

書籍まとめ記事はこちら
それでは「知られざる英語の『素顔』」レビュー、どんな本なの?」と題してレビューをします。
「知られざる英語の『素顔』」の概要

まずは著者の紹介から。
著者は山崎竜成(やまざきたつなり)氏です。
・駿台予備学校 英語科講師
…ということで、大手予備校の講師の方。
お若いけど、こんなに素晴らしい本を書き上げたことに私は驚いているわ。
さて、本書を見ていきましょうか。

どんな本か?

この本は従来の語学書・学習参考書でも取り上げられていない英語の言語事実47個を入試問題を題材として明らかにする本です。
さっそくですが、例を見てみましょう。

これは大学入試でも実際に出たんだけど、エイコちゃんは気になることはないかな?

でも、仮定法の場合は助動詞は過去形になるはずなのに”may”がそのままですね・・・
そうだよね、私も気になった。
日本の高校までで習う英文法では「”may”だと間違いじゃないの?」って感じる人は多いかもしれない。
でも間違いじゃないの。

そう。
その理由は本書に書いてあるから、気になったら読んでみてね。
このように、従来の語学書・学習参考書でも取り上げられていない英語の言語事実を紹介したのがこの本。

たしかに初見だとそれが気になっちゃうわよね。
でも、この本が取り上げている内容を見る限り、英文記事、書籍、会話等、生の英語が使われる環境ではよく見るのに高校までではほとんど習わなかったことが書かれている印象ね。
私自身も得るものが多いと感じたわ。

従来の語学書・学習参考書でも取り上げられていない英語の事実って大事なの?


そうね、それを説明するために例を出しましょう。

この「全然」という日本語、どういう使い方をするかはエイコちゃんは知っているわよね?


そうだね、↑のように「全然納得できない。」のような使い方はよく見るわよね。
さて、次はどうかしら?


うん。
でも日本語学習者が従来の文法だけのカチカチ思考で考えると「この文は間違っています」になっちゃうわよね。
だけど、多くの日本人は「全然(肯定文)」を受け入れている(はず)。

日本語・英語に限らず、私たちのコミュニケーションって100%文法的に正しい会話ってしないけど、死ぬほど間違えている会話もしない。
正しい文法を少し拡張させた会話って頻繁にあると思うの「全然(肯定文)」みたいに。
それを取り上げたのが本書かなっていうのが私の解釈。

さて、このように従来の語学書・学習参考書で取り上げない事実を知ることで、正しく英語を解釈できる確率が上がります。
「この英語は間違っている」「分からない」「解釈できない」で終わるのではなく「こういう意味かもしれない」「こう解釈できるかもしれない」という考えができるようになるのです。

だから、これらを知ることは大事なのです。

なぜ入試問題を取り上げているの?

本の冒頭にこの言葉がありますので紹介しますね。
あえて入試問題を題材にしたのは、一つには、なるべく多くの方に親しみを持ってほしいと思ったからです。高校生や受験生は言うまでもなく、すでに大学生や社会人の多くも、高校時代に多かれ少なかれ入試問題には何らかの形でふれていると思いますから、懐かしさも感じつつ楽しんでいただければ、と考えたわけです。
「知られざる英語の『素顔』」・山崎竜成著、p5より抜粋
一方、簡単だと思われている「受験英語」は実は全く簡単ではないのだということを知ってもらう、という狙いもあります。僕は授業で自分が知っている限りのお英語の実態を伝えるように心がけていますが、「受験の英語は簡単なのだから、余計なことは教えるな」と何度も言われてきました。本書をお読みいただければ、「軽量化された英語」の知識では、「受験英語」すら十分に理解できないのだと強く実感されることでしょう。
ということです。
ただ、入試問題といえども本書に取り上げられていたのはテスト用の不自然な英文はなかった印象です。
あくまで私の感想ですが。
「知られざる英語の『素顔』」レビュー

今回はエビデンスレビューはありません。
事実の列挙がメインですからです。
それを踏まえて定質レビューをします。
定質レビュー

良い点
私を含め、英語教師として働かれた方も述べていますが「長年英語を勉強したが、この事実を知らなかった」という声が多いことです。
私も高校までで習った英文法知識でCEFR-C1に到達したわけですが、これでもこの本に書かれていることの多くは「初めて知った」という感じでした。
次の事実は驚きですね。

前置詞句が主語や目的語になっているパターンです。
この文がどうして正しいのかは本書で説明してありますが、この本を読まなかったら、「この文は文法的に間違いじゃないの?」と感じたことでしょう。
気になった点
気になった点はセクション内の構成です。
本書の各セクションは次の構成になっています。

ご存知な方も多いかもしれませんがオーソドックスな論理的説明の方法に「結論を先に言う」があると思います。
ただ本書は上図の構成であるために、つまりは結論が後に書かれているために頭に入りにくいです。
したがって、読者は「まとめ」を先に読み、その後、セクションの頭から読み進めるという方法がよいかもしれません。
「知られざる英語の『素顔』」の評判

良い評判

これはすごい本です!
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R16RSYF81R74AS/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4903738515
この本の著者はまだ30代だが、よくこれだけの内容が掛けるものだと感心した。70才を過ぎた元英語教師の自分が「初めて知った」ようなことが一杯書いてあって、現役時代の自分の英語教育は一体何だったんだろうと考えさせられた。日本の英語教育は効果が上がらないと言われるが、実は英語の文章の高度な読み方を知らない英語教師が適当なことを言って生徒を混乱させているだけだからではないだろうか。この本は英文法の基本を抑えた上で初めて理解できる高度な内容のものだが、素材が全て大学入試の問題から厳選されているところもすごい。英語教育は10を知って1を教えるというのが理想だが、この本を読めばそれが可能になると思う。素晴らしい本だ。
痩せた日本人の英語力を骨太に
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1TRNCB40G4XWK/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4903738515
このような本をずっと待ち望んでいた。もやもやと燻っていた。いくつもの英語の本についてレビューを書きながら、なぜ、予備校講師や資格試験対策ばかりの形式化されたあまりに痩せた英語しかないのか。 英語の世界は広い。言わば、若島氏の乱視読者シリーズのような視点が英語教育の現場になぜ出てこないのか。英語がよくわかっている英語好きの人間の囁きが…
本書は大学レベルと言える。入試問題を題材にしてはいるが、はたして出題者側もここでの説明を理解した上で出しているのかどうか疑問だ。見つけてきた文をただ出しているだけということもあるからだ。 だから、受験生に必須とは思わない。大抵の入試英文は難なく読める人でないと混乱を招く恐れがある。
「はじめに」で例として挙げられている§24は私としては驚きはなく、解説も may と might の差異がないのはどうかと思うが、それよりおそらく多くの人や受験生に衝撃を与えるのは§27。前置詞句が主語や目的語になる場合だ。
予備校でこれを解説してる講師は他にいないと思う。予備校講師が教えるのは著者の言う「軽量化された英語」で、本書の前段階で終わっているからである。
周囲の東大京大の修士卒や留学経験者達の英語力が貧弱なのはこれまでの受験英語にあることはわかっていたが、明確な代替がなかった。
本書の主張は、文法を中心としたこれまでの構文主義による凝り固まった見方で英語は全てわかるわけではない、英語の世界はもっと広いから、視野を大きく取れという当たり前のことだ。
言語的現象を理解するための素養をつけてくれる参考書は昔はいくつかあった。それを、伊藤和夫を始まりとした構文主義による英文処理法が幅を利かせてからというものほぼ駆逐された。辛うじて含んでいると言えるのは多田の思考訓練シリーズと中原道喜の著書群ぐらいと思う。伊藤を避けてこれらをやった人なら、このレベルに来るのはそう難しくはないはず。
やっと英語というものを実体的に捉えて教えるという明確な目的を持った書物が現れた。
いまだに伊藤和夫を高く評価する人がいるが、伊藤は大学できちんと英語の学問を修めたわけではない。そのため、規範文法ばかりで言語現象を扱えず、実力もなかった。そんなことはないという人は、本書をやってみればわかる。伊藤しかやったことがない人は撃沈だろう。なかにはネイティブが間違っていると言う人もいる(伊藤も発言している)。伊藤はよくないと自ら離脱するような人でないと、著者が言うように「全然英語が教えられていない」状況で終わってしまう。
しかし、皮肉である。「軽量化された英語」を示して、一大旋風を巻き起こした伊藤和夫の非実用性を同じ予備校で後輩講師に窘められるとは… 本書は結果的に伊藤批判であり、駿台英語科の正常化を狙ったものだと思われる。
ページ数は大したことないが、文字びっしりでかなりの情報量を含み、多くの人にはハード。
易難取り混ぜて、今後もこのような言語現象を捉えていく、ほんとうの英語を扱う動きが今の英語教育に取って代わる日を待ち望む。いつまでも予備校頼みでもあるまい。
とにかく、やっと陽が差してきたか…
新たな発見の連続 画期的な英語参考書
引用 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R24G5EWDXNRGKH/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4903738515
「英語には自分の知らない言語事実がたくさんある」ということを豊富な実例(その多くが入試問題文章)で理解させてくれる異次元の英語参考書。少なくとも自分は新たな発見の連続であった。既存の”軽量化された英語”レベルの先に進みたい人にはたいへん有益な書と思う。筆者の押さえたトーンも好感を覚える。
悪い評判

「知られざる英語の『素顔』」の評価

◆おすすめ度
★★★★★★|★★|★☆
(10点満点中の9点…英語学習者万人に薦めることができる書籍。)
◆おすすめできるか
一通り英文法の基礎を学んだ方であればおすすめできます。
◆読後の効果
生の英文に触れたときに「どう解釈すればよいか分からない」の確率が減ると思います。
◆本書の評判
2022年10月現在、Amazonの評価は4.6。
良い評判は「自分の知らない英語事実を知った」。
悪い評判はありませんでした。
◆本書の価格
2022年12月現在、紙の書籍のみの販売で1,930円です。
従来の語学書・学習参考書でも取り上げられていない英語について触れており、
オリジナリティーが高いと思います。
◆向いている方
・高校までで習う基礎的な文法を習得した方。
・「生の英語が学校で習った英語と違う」と感じる方。
・英語を教える立場の方。
◆向いていない方
・高校までで習う基礎的な文法を習得していない方。
まとめ

「知られざる英語の『素顔』」は英文法を一通り習得された方であればおすすめできる本かと思います。
この本のおかげで「高校で習っていない英文法が登場して解釈できない!」の確率が減ると思います。
生の英語を触れるにあたり、足場となる情報が欲しいという方にとって期待に応えてくれるでしょう。

さて、「知られざる英語の『素顔』」は本ブログで英語学習者におすすめする本です。
気になった方は次のリンクからゲットしてみてくださいね。
それでは。

メール相談受付中
ブログに対するご意見、
英語の勉強法についての相談、
気軽にしていただけたらと思います。
管理人のキャパシティーが超えない範囲で対応させていただきますね♪
(↓ メール相談は↓をクリック! ↓)
