

皆さんにおすすめできるかについて触れます。

今回はね「英語学習論−スピーキングと総合力−」(青山正妥著)よ。
コアな英語学習者の間で評判となっている本になるわ。

「英語学習論−スピーキングと総合力−」と呼ぶのは長いので以降は「英語学習論」と呼称しますね。
この本に関しても科学的視点と定質的視点でレビューしていきます。
結論だけ知りたい人は、ここからジャンプできるから見てくださいね。

書籍まとめ記事はこちら
それでは「『英語学習論』(青山正妥著)、他の英語学習法書との違いは何?」と題してレビューをします。
「英語学習論」の概要と特徴

著者は青谷正妥氏、2019年時点では京都大学国際交流推進機構准教授をされている方です。

そうだね。
でも、彼の経歴を聞くともっと驚くわよ。
青谷氏のプロフィールをまとめるとこんな感じになるわ。
・大学院在学中に渡米するが、その前に2年間の勉強で英検®1級を取得。
・アメリカで1つの修士号、2つの博士号を修得。
・プリンストン大学、カリフォルニア大学、MITを含む4短大・11大学で教鞭を執る。
・十年間、シリコンバレーを含む企業でも勤務。
・現在の英語力はTOEIC L&Rが990点満点、TOEFL iBTが120点満点。

そうだね、そんな凄いお方が書いたのが本書なの。
それではこの書の特徴を話していくわね。
特徴その1:読み手は英語学習者、英語教育者、英語教員育成者

…ということで、この書は学ぶ者だけでなく、教える側の者も読むことができる内容となっています。
というのも書の冒頭に「誰のための本か」というページがあり、そのことが書かれているからです。

そうね、それではそれぞれの使い方を簡単に説明するわね。
本書の使い方・英語学習者
本書の使い方・英語学習者についてお話します。
本書は英語の総合力、つまりは4技能を上げるための訓練法が書かれています。
具体例を出すならば、
- 語彙強化のための具体的な単語リスト”The General Service List”や「JACET 8000 英単語」など。
- 聞く力の強化のために95-98%の単語が理解でき、聞いたときに7-8割分かるものを処理練習に使う。
- 読む力の強化のために多読と精読を併用し、重点は多読に置き、年100万語をめざす。
- 話す力の強化のためにLeveltの発話モデルを使うと全体像把握に役立つ。
といったものがあります。
これらの訓練法は第二言語習得論もバックボーンに含まれていますし、私の目から見ても妥当だと思います。

それは本を買ってね。

本書の使い方・英語教育者、英語教員育成者
本書の使い方・英語教育者、英語教員育成者についてお話します。
本書は第二言語修得の全容をプレゼンテーションスタイルにまとめて書いてあります。
青山氏いわく「英語学習者ですら、第二言語修得に関する専門的知識をある程度持つべきなのですから、英語教育者はなおさらです」とあるので、本書はその内容が充実しています。
具体例を出すならば、
- 言語学的側面における英語学習
- 脳科学的側面における英語学習
- 心理学的側面における英語学習
といった内容が書かれています。
特定の資格試験や受験英語に拘らない汎用的な英語学習法が書かれているので、どの英語学習職であっても役に立つことが考えられます。
特徴その2:意見ではなく科学的事実を記載

この本における記述が科学的事実に基づく度合いは他の英語学習法を書いた本よりも突出していると思います。
本書は180ページですが、参考文献は263ありました。

そうね、題名/作者名は伏せるけど、有名な英語講師が書いた英語学習法の本は科学的根拠の提示が0のものがあったわ。
本以外の例だと…
ブログで英語学習法を発信している人はいるけど、何かしらの科学的根拠を提示した人はほとんど見ないわね。
それくらい科学的根拠を提示する人って少ない印象。
あくまで私から見える範囲だけど。

それに青山氏は本書で他書との違いを次のように書いているわ。
意見ではなく科学的事実を記載
「英語学習論」冒頭文より抜粋
この本の内容は一教育者・学習者の個人的な感触や意見ではない。言語学はもとより、脳科学・統計学などの現代科学によって検証済みのデータや確立された事実であり、主観的な判断は極力さけている。

うん、私もそう思うわ。
科学的事実、さしあたりエビデンスに基づく記載は本当にそうだと思うわ。
エビデンスについてはこの記事で説明しています!
「英語学習論」レビュー

エビデンスレビュー

本書は英語学習法の書ですが、英語学習法の書では科学的根拠の提示が圧倒的に多いと思います。
それは前述したとおりです。
英語学習法の書を出版する人も、ブログ等で英語学習法の情報を発信する人も見倣って欲しいと思います。

定質レビュー

このレビューでは私自身の主観で良い点、賛否両論な点、気になった点を述べます。
良い点:科学的事実に基づいた記述
良い点は、科学的事実に基づいた記述です。
特徴その2でも触れましたが、180ページという比較的厚くない本に対して、参考文献が263もあるのは他の本に見られない信頼性があると思います。
作者個人の体験のみに基づいた英語学習法はエビデンスとしては質が低いので、このようなしっかりとした本があるのは頼もしいと思います。
賛否両論な点:アカデミック寄りの内容
賛否両論な点はアカデミック寄りの内容であることです。
本書での記述は科学的観点に基づいているので、アカデミック寄りの内容になっています。
読者は科学の論文を読んでいる気持ちになり読みづらさを感じるかもしれません。
裏返して言えば記述内容の妥当性が高いということになります。
「英語学習論」が他の英語学習法本と違うところ

特徴その2、良い点でも述べましたが、「科学的事実に基づいた記述」がそうです。
180ページという比較的厚くない本に対して、参考文献が263もあるのは他の本に見られない信頼性があると思います。
「英語学習論」の評判

良い評判

新しい論文たちに裏づけされた、京大の研究者による英語学習論。
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多くの新しい文献に基づいて書かれており、巷にはびこる『「わたしはこうやった!」本』とは一線を画す。理論が丁寧に書いてあるため、自己流も考えやすい。
「英語の4技能のうち、圧倒的に『話す』が重要で、続いて『聞く』『読む』が同レベル、最後が『書く』」というのはなるほどと思った。その一方で、マジで友達いない人向けの勉強法だと思った笑 リスニング、リーディングはさておき、スピーキングとライティングが一人で学習すること前提で議論されてるのがおかしすぎる。
ネイティブと話すとか、添削してもらうとか、そういう発想がほとんど無く、それをちゃんとやったらこの人よりもっと早く正確に学べるのでは?と思った。
5つ星のうち5.0 著者の体験ベースのみではなく、数多くの科学的な研究から得られた知見を練り上げ、英語学習の鳥瞰図を示した良書
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著者の前書きにも述べてありますが、また英語学習書?とうんざりしている方にも一読の価値はあるかと思います
著者の青谷正妥先生は、TOEFL iBTで満点という卓抜した英語スキルを持っているのは勿論、テンプル大学での言語教育について博士を取得しています。本人の英語力はもちろん、言語教育にも精通しており、数々の研究の知見や自身の学習体験・英語指導の経験を練り上げて、大卒以上のネイティブと対等にやりあえるようになるまでの英語学習の俯瞰図を示したものです。 欧米の大学院で研究をしたりとか、MBAを習得したりといった、仕事や大学でネイティブとガチの議論をされるレベルの方でも参考になる知見が得られると思います。
参考文献も多くかなり濃い内容の本なので、要約が難しいのですが・・・
・まず、単語の意味や、文法、発音など辞書的に覚える宣言的知識を蓄える。
・スピーキングの訓練を中心に、覚えた宣言的知識を活用して”意識せずに”スラスラ使えるようにする(自転車の乗り方を意識せずに乗る感覚が手続き的知識だと本書では説明されています)。
まず、リーディング・単語帳の暗記などで、宣言的知識を蓄える。それを実際にスピーキングやライティングで覚えた宣言的知識を手続き的知識化して定着させていく、というプロセスが英語の4技能すべてをバランス良く鍛えていくためには必要だということです。
このプロセスを支える上で、コアとなるトレーニングが 15秒考えて45秒話す時限訓練です。
このためのマテリアル(青谷先生作成)とそのサンプルアンサーが書いて公開しているので、リンクを貼ろうとしたのですが、AmazonのレビューではURLを貼ることができないようです。 大変申し訳ないですが、ご自身で検索をお願い致します。
この時限訓練の用の練習マテリアルが1000個以上あります。
この訓練が、一般的な英会話レッスンを受講するのと比較して以下のメリットがあります。
・相手が話している間に考えることができる会話とは違い、考える時間がないので話しながら内容を纏めていく・落ちをつけ着地させることまでしないといけません。このため、英会話レッスンより高負荷で効率よく、会話の流暢性向上をしていくことが期待できます。
・1000を超えるマテリアルがあるため、トピックがマンネリ化することなく、いろんな分野のアウトプット訓練ができ、それが英語力の運用力向上に役立つ。
この訓練は、ボイスレコーダーに録音してその後発音・文法ミス・フィラー(あ~とかえ~とか余計な間を作る言葉)をチェックしてアウトプットの品質管理・向上をします。
他の訓練法などは実際に著書を手に取って是非確認してください。
青谷先生の著書の内容は文句つけようもなく素晴らしいのですが、教えている学生も京都大学の学生ということでもともと、宣言的知識はある程度以上備わっている学生以上を対象にしている印象を受けます。そこの穴を埋めるための道しるべがあると、より万人に向けた学習書になると思いました。
私見になりますが、もっと基礎的な復習が必要な方は、 Forestの文法集・問題集や速読英単語とそのCD,システム英単語といった大学受験用の基礎レベルの参考書や高校受験用の参考書で基礎固めをした方が良いと思います(TOEICでいうと700点くらい無いとVOA 以外の教材は実践が難しいと感じました)。
その後はDUOや接頭辞・接尾辞・単語のイメージを学べる単語帳 鉄緑会・鉄壁などをするとよいと思います。特に鉄壁は、単語の意味や品詞を類推する上で重要な接頭辞・接尾辞を語彙力強化をしつつ鍛えられるので非常に良いと思います。
信頼できる英語学習論
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巷にあふれる英語学習論の中で最も信頼できると思う。
主に4技能を中心にその習得技法を提示し、学習者がどの程度の難易度の教材を使うのが最も効果が出るかということまで言及している。
さらに、それぞれの主張の裏付けに、国内外の第二言語研究論文の裏付けとなる論文または学者名をいちいち記している点にも好感が持てる。この点は、昨今の同時通訳者などが自身の経験のみを頼りに「このように勉強しなさい」と主張する薄っぺらい内容の著書とは大違いである。
この本で紹介されている方法をさらに信頼のおける内容にしているのは、相当に英語力のある著者自身がその方法を行ったところどのような結果になるかを掲載していること、さらに著者の仕事場である京大の学生にここで紹介している学習法を提供しどのような結果を得ているかを詳細に記述している点である。
英語各種資格試験で満点を取得している著者が、リスニングでは聞けないことが結構あるなどと吐露する内容なども正直で好感が持てる。
このような指導者に学べる京大生は恵まれている。
悪い評判

内容は非常に参考にできるものであると考える
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多数の論文を引用しており方策に信頼感がある。著者の日本語は所々で理解が難しく解説が機能していない箇所がある。
難しすぎて何をするかわからない
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レビュー高評価だったので、買いましたが…内容が難しくて読む気が失せました。著者の経歴は素晴らしく言ってることも真実だと思います。 しかし、何をしていいかはわかりませんでした。 今後は内容を本屋で見てから買うようにします(苦笑)
「英語学習論」の評価

◆おすすめ度
★★★★★★|★★|★☆
(10点満点中の9点…英語学習者万人に薦めることができる書籍)
◆おすすめできるか
この本はおすすめします(ただし英語学習初学者には難しいと思いますので、それは除外します、したがって中級者、上級者向けですね)。
理由は2つあります。
理由1 科学的事実に基づいた記載
著者の経験則をできるだけ排除した記載で
信頼性がある記載となっています。
理由2 複数の科学分野をまたにかけた記載
言語学、脳科学、統計学と複数の科学分野をまたにかけた記載で
効率的な英語学習法の記載があります。
英語だけ知っている、英語と第二言語習得論だけ知っている
という教える立場の人は多かもしれませんが、脳科学や心理学等の
分野まで踏み込んで教えるという書はこの書くらいかと思います。
◆読後の効果
堅い内容で読みづらいところはありますが、咀嚼できると効率的な英語学習ができると思います。
◆本書の評判
Amazonの評価平均は4.3でした。
科学的な研究に裏付けされた記載を称賛する声がありました。
◆本書の価格
2022年現在、紙の本のみがあり2,530円です。
若干値が張りますが、有象無象の低質な英語学習本10冊よりもはるかに価値があると思います。
◆向いている方
・科学的根拠に則った英語学習法を知りたい方
・アカデミック寄りの本が好きな方
◆向いていない方
・英語学習初学者
・アカデミック寄りの本が苦手な方
まとめ

ちょっと難しい内容の書ではありますが、ある程度英語力がある方やアカデミックな内容に抵抗がない方にはおすすめできる本かと思います。
該当する方は読んでみてくださいね。
エイコちゃん、感想はどうかしら?


さて、「英語学習論」は本ブログで英語学習者(中級者〜上級者)におすすめする本です。
2022年現在、紙書籍しかなく、かさばることが嫌いな人はためらうかもしれませんが、それでも買う価値があると思います。
もし欲しくなったら次のリンクから購入をお願いします。
それでは。

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