

今回は・・・

今回は、「英文ライティングのメタモルフォーゼ」(鈴木健士著)です。


そうだよ。
この本に関しても科学的視点と定質的視点でレビューしていきます。
結論だけ知りたい人は、ここからジャンプできるから見てください。

書籍まとめ記事はこちら
それでは「『英文ライティングのメタモルフォーゼ』レビュー、どんな本?」と題してレビューをします。
「英文ライティングのメタモルフォーゼ」の概要

まずは著者の紹介から。
著者は鈴木健士氏です。
・トフルゼミナール英語科講師・通訳者・翻訳者
・2002年FIFAワールドカップや2005年日本国際博覧会などの国際イベントの通訳・翻訳
・宇宙航空研究開発機構(JAXA)のウェブサイト、NHKワールドのテレビ番組の英訳
・訳書「オバマ勝利の演説」
Twitterの英語アカウント界隈では「すったけ先生」として著名な方です。

そうだね、鈴木氏の人格がそのまま名前になった感じだね。
さて、本書がどんな本か見ていきますねー。
どんな本か?


一言で言うなら「ライティングを構造レベル(マクロレベル)でなく、文レベル(ミクロレベル)で改善するためのヒントを提供する本」になります。

そうだよね。
それを次のセクションで説明するね。
「構造レベル(マクロレベル)でなく、文レベル(ミクロレベル)で改善する」とは?

まずは構造レベル(マクロレベル)の話をします。
ライティングといっても小説を書くのか、仕事のレポートを書くのか対象は様々です。
しかし、仕事のレポートを書く場合、一つの良い手法(ベストプラクティス)としてPREP法があります。
PREP法の「PREP」は
- Point(結論、要点)
- Reason(理由)
- Example(事例、具体例)
- Point(結論、要点)
の頭文字を取ったものです。
最初に結論を伝え、次のその理由を説明、事例で理由を補強し、最後に結論を述べるというものです。
図にするとこんな感じです。

このような例が構造レベルの改善です。

しかし本書は「構造としてこう書こう」というような本ではありません。
文レベル(ミクロレベル)での改善を提案しています。
具体例を見て行きましょう。
本書では「よくある英作文」と「洗練した英作文」をたくさん例示しています。
こんな感じです。

こんな感じで節(S + V)を名詞化や動詞化等で英文をシュッとさせています。
もう一例見ましょう。

このように名詞化等をして英文をコンパクトに、だけどしっかりと情報が伝わるものに洗練しています。

この本では名詞化により英文を洗練させる方法が多い印象だけど、必ずしもそうとは限らないわ。
例えば次の例があるね。

こんな感じで名詞化以外でも洗練した書き方を提示しているのが本書となります。

でもね、過度な名詞化は時には尊大過ぎたり、抽象的過ぎたりすることがあるからそのことを紹介するわね。
ゾンビ名詞(zombie noun)って言うんだけど。

うん、インパクトの強い言葉だけど次のセクションでお話しするわね。
ゾンビ名詞(zombie noun)

ゾンビ名詞(zombie noun)とは「過度な名詞化(-ity、-tion、-ism等を付ける)により尊大で抽象的な文章になること」です。
米国の文筆家Helen Swordにより作られた用語です。
実際に次の図を見ればイメージしやすいでしょう。

動画もありますので気になる方はご覧ください。

うん。
このゾンビ名詞は極端な例だけど、すったけ先生の本書のように適度に名詞化すれば洗練された英文になるんじゃないかな。
つまりは程度問題であることを思っておけばいいと思う。
「英文ライティングのメタモルフォーゼ」の難易度

あくまで私の所感ですが、高校までで習う文法を一通り習得したことを前提に書かれていると思われます。
その意味ではCEFR-B1以上の英語力は要求されていると思います。
CEFRについてはこの記事に書かれています。
そして、本書で登場する単語の一部でCEFR-C1レベルに相当するものもあります。
eludeとかですね。
その上で、自分はこの本を読む力があるか検討してみるとよいと思います。

「英文ライティングのメタモルフォーゼ」レビュー

なお、本書はライティング例の提示がメインなのでエビデンスレビューはありません。
定質レビュー

良い点
ワンパターンになりがちなライティングに「こういう書き方もあるよ」と多くの例を提示してくれた点でしょう。
陳腐な英文しか書けないことに悩んでいる人には良い情報があると思います。
気になった点
過度な名詞化による弊害の情報提示はあっても良かったかもしれません。
つまりは先ほど登場した「ゾンビ名詞(zombie noun)」です。
本書では名詞化により英文を洗練させる方法を提示しており、CHAPTER1〜CHAPTER6で132の技法(本書ではPOINTと表示)を提示しています。
その132の技法のうち50技法で「名詞のカタマリ」という言葉が登場しました。
それほど、名詞のカタマリを作ることを推奨していますが、読者には「程度問題」であることを知らせる必要があったと思います。
「英文ライティングのメタモルフォーゼ」の評判

良い評判

英文ライティングでありそうでなかった切り口が斬新だった!
引用元 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2Z7NOAIY03H34/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4046058153
今、英文ライティングの練習をしていて主に洋書のライティング本を参考にしてきたのですが、なかなか自分でうまくかけないという思いがありました。そこでSNSで評判になってたこの本を購入してみました。 (洋書のライティング本は大雑把にいうとフレーズ集のようなものばかりなので) 多くの日本で発売されている英文ライティング本をチェックしたわけではないですが、「日本人ならこう書きがちなのをこう書いて・・・」という手法がちょうど今の私のレベルにピッタリでした。 この本のおかげで普段よんでいるエコノミストやタイムやFTを違った視点(ライティングからの視点)で見るようになったのも事実。 おそらくこれから多くのこの本のようなテイストの本が「連発」してくると思います。 著者には続編を期待するのとともに、今度は文章構成に視点をあてた「日本人向け」の本を希望します。 日本人ならついついこういう論理展開をしてしまうけど、英米ではこういう論理展開、表現が好まれる的な。 ちなみに第5文型、無生物主語構文で書かれた文章を読み慣れていない人には内容が難しすぎてこの本の良さがわからないかもしれないと思います。
毎ページごとに学びがある
引用元 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R98NS33U9NHD8/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4046058153
「よくある英作文」から、いかにして、いわゆる「英語らしい表現」で書くことができるかを細かく「ポイント」として注目させ、懇切丁寧に説明しています。これまでに自分では、とても書けそうもないような表現、書き方が毎ページごとに出てくるので、辞書を引いて確かめながら読んでいます。いつになったら最後のページに到達できるかわかりませんが、ページを繰るごとに「なるほど!このように書くことができるのか!」という驚きと感動があるので、あわてずにこの本と向き合っていくつもりです。私はこの本をスイスイとは読み進めることができませんが、毎ページに学びがあるので、at a snail’s paceで最後まで自分のペースでやっていくつもりです。とてもやりがいのある良書だと思います。
Metamorphosis
引用元 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2OWEL1TL78HOF/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4046058153
上級者向けの高級な文章から実際にThe EconomistやThe New York Times などで使われている英作文のフレーズを体系的に学べます。練習問題も豊富にあるため定着しやすくなっています。また、英検1級レベルの単語も普通に使われており、使う場面やコロケーションなど読みながら学ぶことができます。
英語らしい表現を学ぶ
引用元 https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R2HVU8RSVLGX56/ref=cm_cr_arp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4046058153
無生物を主語にすることや、名詞構文を多用すること、分詞構文を使うことなどが書かれています。
私は大学受験時に「名詞構文(抽象名詞)を使用してはいけない。冠詞の有無などが分からない。硬い文にもなってしまう。」「分詞構文はできるだけ避ける。意味を明確にするために接続詞を使って書こう。」などと習いました。おそらくはこれももっともな考えだと思います。
しかし、さらに英語力を高めてレべルアップするためにはこの本の内容を習得しなければならないのかなと思いました。長年、日本人学習者を教えてきたバーダマン先生の監修もあり、信頼できる本だと思うので熱心に取り組みたいと思います。
英作文だけではなく、鈴木先生とバーダマン先生が書いた英文を読むこともできます。その際、語彙が時折難しいので、適宜辞書を参照しています。
悪い評判

「英文ライティングのメタモルフォーゼ」の評価

◆おすすめ度
★★★★★★|★★|☆☆
(10点満点中の8点…英語学習者万人に薦めるほどではないが多くの箇所で参考になる箇所がある。)
◆おすすめできるか
高校卒業までで習う英文法を一通り習得し、ライティングを文単位で磨きたい方
◆読後の効果
英検®1級に合格した管理人からしても初耳な情報が多かったです。
洗練された英文というものを見事に言語化しており、とりわけ英文を書く仕事をされる方には参考になると思います。
◆本書の評判
2023年2月現在、票数は11票で評価は4.9です。
票数はまだ少ないですが、管理人から見ても良い本だと思います。
◆本書の価格
紙の書籍で1,980円、Kindle版で1,782円です。
132の技法という豊富な情報量なので良い買い物になると思います。
◆向いている方
・高校卒業までで習う英文法を一通り習得し、ライティングを文単位で磨きたい方。
・CEFR-C1レベルの英単語が登場しても読み続ける気力がある方
◆向いていない方
・高校卒業までで習う英文法を習得していない方。
まとめ

ちょっとレベルが高いライティングの本ですが、高校英文法を習得し、少々難しめな語彙が登場しても大丈夫な方にはおすすめできると思います。
よろしければ、リンクから購入をお願いしますね。


さて本ブログでは、このように英語関連書籍を紹介してきます。
もし気になる本があればこのブログ経由で買っていただけるとありがたいです。
それでは。

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